精神症状の発症には、心理社会的なストレスが関与する場合が多々あります。ストレスという心因が大きく関わる病気として、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や適応障害が挙げられます。
ストレスは、身体的な反応として頭痛、動悸、発汗、息切れ、めまい、震え、胃痛、便秘、下痢、不眠、発熱などさまざまな症状を引き起こします。これらの症状が強く、自分がコントロールできないような感覚を伴う場合、パニック発作の可能性があります。また、ストレスによる発熱は、心因性発熱(ストレス性高体温)とも呼ばれます。
日常的なストレスをはるかに超える心的外傷(トラウマ)を受けた人では、トラウマ体験が鮮明に思い出され(フラッシュバック)、関連する出来事を避け、恐怖感から社会活動が困難になることもあります。集中力の低下や睡眠障害を伴うこともあります。PTSDは、過去の外傷体験に関する恐怖感が1ヶ月以上続いている状態といえます。
明らかにストレスとなる出来事があり、それから3ヶ月以内に、不安や抑うつ気分などが生じ、仕事、あるいは家事ができないなど、生活に支障を来している状態です。ストレスとなる出来事は、対人関係の悩みから健康上の問題、経済的な問題など様々であり、単一のものであったり、複数の要因が絡んでいることもあります。
PTSDと適応障害に対する治療方法について詳しく知りたい方は、次のリンクをお読み下さい。
<ストレス反応(PTSD、適応障害)の治療方法>ストレスは、脳の不安中枢である扁桃体を活性化して、不安症状を引き起こします。典型的には、動悸、発汗、めまい、呼吸困難、喉のつまり、手の震え、胸の違和感などを認めます。症状が強く、自分がコントロール出来ない感覚があり、命の恐怖を伴うような場合は、パニック発作の可能性があります。
不安症状の治療には、ベンゾジアゼピン系抗不安薬や、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が用いられます。抗不安薬は即効性があり、SSRIは、長期的な服用で根治的な効果が期待できます。
ストレスによる身体反応の一つに筋緊張があります。筋肉の緊張によって血行が悪化し、頭痛や肩こり、目の奥の痛みなどが起こります。筋緊張を緩める抗不安薬や、筋弛緩薬が有効です。
ストレスは、交感神経を活性化して、胃の血流を減らし、胃痛の原因となります。ストレスによって自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが乱れると、腸の蠕動運動が乱れて、便秘や下痢が起こります。交感神経の活性化は、不眠症状の原因にもなります。対症療法として、胃腸症状を緩和する薬剤や、睡眠薬が用いられます。
感染や炎症などの病気はなく、朝起きた時は平熱なのに、ストレス状況で体温が37〜38度に上昇し、ストレスに暴露される度に体温上昇が起こる場合、心因性発熱(ストレス性高体温)の可能性があります。不安感や緊張から自律神経が乱れていることが原因です。解熱剤は効きづらく、抗不安薬、SSRI、交感神経遮断薬(αβブロッカー)などで発熱の改善が期待できます。
不安症状やパニック障害の治療薬である抗不安薬やSSRIについて詳しく知りたい方は、次のリンクをお読み下さい。