うつ病に似た症状を示す病態として、鉄欠乏状態・甲状腺機能低下症・低たんぱく状態・更年期症状
などが挙げられます。
血液検査でそれらの疾患を除外することが大切です。
血液検査をご希望される場合は、
診察の際にその旨をお伝え下さい。
倦怠感が続く場合、貧血のない鉄欠乏状態が原因の可能性があります。鉄欠乏性貧血では、血清フェリチンの値が12~15ng/mL以下となりますが、貧血がなくてもフェリチンの値が50ng/mL以下の状態だと倦怠感の原因となる可能性があります。その場合は鉄剤を内服し、フェリチン値が50ng/mLに達してから3ヶ月服用を続けることをお勧めします。
鉄には、肉や魚などの動物性の「ヘム鉄」と、野菜などの植物性の「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄の吸収率は非ヘム鉄の5~10倍とも言われているため、鉄は動物性食品から摂取した方が効率が良いでしょう。1日2mgの鉄を吸収するには、豚レバーで100gが目安となります。
甲状腺の機能が低下すると、気分の落ち込みや、元気・活力のなさが起こります。
食欲低下・集中力低下・不安などを伴い、
うつ病に似た症状を呈するため、鑑別が必要です。
身体症状として、徐脈・むくみ・体温低下・便秘・首の腫れなどが起こります。
血中の甲状腺ホルモン(FT3・FT4)が低値となり、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高値となる場合は、甲状腺機能低下症と診断されます。
抗体検査(抗Tg抗体・抗TPO抗体)によって、慢性甲状腺炎(橋本病)の診断が可能です。治療には適切な量の甲状腺ホルモン薬(チラージンS)を内服し、足りないホルモンを補充します。
タンパク質の構成成分であるチロシン・フェニルアラニン・トリプトファンなどの必須アミノ酸は、神経活動に不可欠な神経伝達物質であるアドレナリン・ノルアドレナリン・セロトニンなどを合成します。
特にセロトニンが欠乏すると気分が不安定になり、憂うつ感や不安感を生む場合があります。
タンパク摂取の指標は尿素窒素(BUN)です。
腎機能検査の観点ではBUNの基準値は8〜23(mg/dl)ですが、タンパク摂取量からみると、BUNは15(mg/dl)以上が望ましい数値です。
低たんぱく状態の場合は、高タンパク質・低糖食に切り替えて、一日に体重1kgあたり1〜1.2gのタンパクを摂取するように心がけましょう。
食事だけで不十分な場合、プロテインを1日あたり(体重×0.5)g摂取するのも有効です。
男性の場合、40代から60代前半において、
加齢に伴う性ホルモン(テストステロン)の低下によって不眠・無気力・イライラ・性欲減退・集中力の低下など、抑うつ症状に似た症状がおこる場合があります。
血中のテストステロン値を測定することで、
更年期障害であるか判断ができます。ホルモン低値の場合、テストステロン補充療法により症状の改善が期待されます。
血中の遊離型テストステロン(フリーテストステロン)正常値の下限は年齢によって異なり、20歳代では8.5pg/ml、30歳代では7.6pg/ml、40歳代では7.7pg/ml、50歳代では6.9pg/ml、60歳代では5.4pg/ml、70歳代では4.5pg/mlとなります。
女性の更年期とは閉経(平均50歳)を迎える前後10年程度(45歳~55歳)を指し、閉経の4~5年前から卵巣の機能低下により、エストロゲンが減少することによって自律神経系のバランスが崩れ、さまざまな症状が起こります。
自律神経症状として、のぼせ・ほてり・発汗が突然起きるホットフラッシュが起こります。
精神症状として、怒りっぽくなり、また気分の落ち込みや不安感が起こります。その他、身体症状として、疲れやすい・吐き気・めまい・頭痛・浅い眠り・肩や腰の痛みなどが起こります。
更年期障害に明確な診断基準はありませんが、血清エストラジオール(E2)濃度の低下、血清FSHの増加(25mIU/ml以上)が診断の補助となります。
特にE2値20pg/ml以下、FSH値40mIU/ml以上の場合、閉経が近づいていると判断されます。
症状が軽い場合は加味逍遥散などの漢方薬で改善する場合があります。
症状が重い場合は、専門の医療機関でホルモン補充療法の検討が
必要になります。
当院では、更年期障害に伴う症状の緩和目的に、プラセンタ注射を受けていただくことが可能です。 プラセンタ注射とは、ヒト胎盤から抽出したエキスを使った製剤であり、B型肝炎、C型肝炎、HIVに感染していない胎盤のみ使用し、既知のウイルスや細菌は高圧滅菌で不活化されています。これまでにプラセンタ注射に伴うvCJD(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)感染事例は報告されておりませんが、厚生労働省の指針により、念のための措置として、プラセンタ注射を受けた方は献血ができません。
厚生労働省に認可されているプラセンタ注射剤「ラエンネック」「メルスモン」のうち、当院では「ラエンネック」を取り扱っております。料金は、1回1A(アンプル)の皮下注射、または筋肉注射にて1,950円(税込)です。1A追加ごとに+500円となります(2Aの場合は2,450円、3Aの場合は2,950円)。 保険診療の場合、1回1Aを、1日3回まで、毎日または隔日に注射する決まりとなっていますが、当院での自費診療の場合は、ご自身のペースで治療を受けていただくことが可能です。初回、医師の診察にて、効果や副作用等について説明を受けていただき、治療に関してご同意いただけるか確認いたします。
それ以降はプラセンタ注射のみ実施していただくことが可能です。理想的には、治療開始後の1〜2ヶ月は、週に1〜2回の注射をおすすめしております。効果が現れてからは、1〜2週間に1回程度の注射で効果を維持できる場合がございます。 更年期障害の他に、肝機能障害に対しても治療効果が認められています。プラセンタの作用機序は完全には分かっておりませんが、成長因子や栄養素、核酸などの複合的な効果と考えられております。疲労回復やアンチエイジング目的で治療を受ける方もいらっしゃいます。男性の方にも治療を受けていただくことが可能です。
うつ症状に関連すると考えられる栄養素やビタミンが報告されています。 エイコサペンタエン酸(EPA)とは、いわし・さば・あじなどの青魚に多く含まれる脂肪酸の1つです。1日に1g(1000mg)を12週間服用することで、うつ症状の改善を認めたことが報告されています。 EPAは青魚の油に多く含まれており、体内では産生できないため、食品から摂取する必要がある必須脂肪酸です。
EPAを1g摂取するには、サンマ1尾、サバ1/2切れ、マグロ1食分等が必要です。 また、血中ビタミンD濃度が低い場合(<20ng/mL)、うつ症状を認める方の割合が増加することが示されています。血中の亜鉛濃度も、うつ病との相関関係が報告されています。また、血中ビタミンD濃度が低い場合(<20ng/mL)、うつ症状を認める方の割合が増加することが示されています。
血中の亜鉛濃度も、うつ病との相関関係が報告されています。 当院では、血中亜鉛濃度と血中25-ヒドロキシビタミンD(25-OHビタミンD)濃度の測定を行っていただくことが可能です。25-OHビタミンDが20ng/mL未満の方、血中亜鉛が80ug/dL未満の方は、積極的にそれらの栄養素を含む食品を摂取していただくことが勧められます。
栄養サプリメントを利用することで、これらの栄養素の摂取を補助することができます。医療機関専用サプリメント「mieQua」には、6粒あたり、EPA:1g(1000mg)に加え、ビタミンD、ビタミンB1, B2, B6, B12、葉酸、亜鉛等が含まれております。90粒入りとなります。服用を希望される方は、当院にて医療機関コードをお問い合わせください。専用オンラインストアでご購入いただけます。
判断料 | |
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血液化学検査(生化学的検査(I)判断料) | 432円 |
末梢血液一般検査 (血液学的検査判断料) |
375円 |
内分泌学的検査(生化学的検査(II)判断料) | 432円 |
採血 | |
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静脈採血B-V | 105円 |
血液化学検査 | ||
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血清鉄・尿素窒素(BUN)・クレアチニン(Cre)・総ビリルビン・γGTP・中性脂肪・総蛋白・Na・Cl・K | 各33円 | まとめて実施した場合 5~7項目: |
総コレステロール・AST(GOT)・ALT(GPT)・HDL コレステロール |
各51円 | |
LDLコレステロール | 54円 | |
フェリチン定量 | 324円 |
末梢血液一般検査 | |
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末梢血液一般検査(赤血球数・白血球数・血色素測定(Hb)・ヘマトクリット値(Ht)・血小板数) | 検査項目数に |
内分泌学的検査 | ||
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遊離サイ ロキシン(FT4) |
381円 | 3項目まとめて
1,230円 |
遊離トリヨードサイロニン(FT3) | 381円 | |
遊離テスト ステロン |
489円 | |
卵胞刺激 ホルモン(FSH) |
333円 | |
エストラジ オール(E2) |
531円 | |
甲状腺刺激 ホルモン(TSH) |
312円 |